六本木で開催中の美大卒制展2つ

六本木に行く予定があったので、国立新美術館で開催されている「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」とAXISで開催されている「武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科 2013年度卒業制作選抜展」の2つの展示を観てきました。随分とボリュームがあるので、本気で観ると1日がかりになるかも知れません。以下はホームページから抜粋

六本木

 

東京五美術大学連合卒業・修了制作展

2013年2月21日(木) – 3月3日(日) [2月26日(火)休館]
10:00 – 18:00 (入場は17:30まで)
国立新美術館
[入場無料]
http://www.nact.jp/

多摩美術大学
女子美術大学
東京造形大学
日本大学芸術学部
武蔵野美術大学

武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科 2013年度卒業制作選抜展

期間:2014年2月27日(木)〜3月4日(火) 11:00〜20:00(会期中無休/入場無料)
会場:AXIS GALLERY(4F)、SYMPOSIA(B1F)、JIDA デザインミュージアム in AXIS(4F)
東京都港区六本木5-17-1 Tel. 03-3587-2781 (代)
http://www.axisinc.co.jp/building/eventdetail/297

卒業制作作品を広く紹介する機会として「shide CONTACT」と名付けられた、この展覧会も今回で4年目を迎えます。
社会の形成に深く関わっているビジュアルコミュニケーションデザイン。
今世紀のデザインの新しいビジョンを求めて、学生たちは人々の感性や知性に共鳴できる視覚的表現の研究と創造に取り組んできました。
コミュニケーションとデザインの未来を担う学生たちの、特に優れた研究と表現活動を紹介します。
「4F /アクシスギャラリー」と「B1F /シンポジア」、「4F /JIDAデザインミュージアム in AXIS」の3会場で展示します。

イマジネーションの素

空間のデザインを発想するとき、私の場合には実際のインテリア空間からインスピレーションを受けることよりも、自然とか、プロダクトデザインとか、工芸品とか、絵画とか、童話とか、小説からイマジネーションを沸かせることが多いような気がします。

2008年にスペインのサラゴサという街で開催されたサラゴサ博覧会の日本館に、基本設計から参加させて頂いた時の話をします。

このサラゴサ博覧会は水をテーマとしていました。日本館では“世界的な大都市でありながら美しい川を維持し、ぴったりと寄り添い活かしてきた江戸時代の人々の川に対する工夫と知恵”について語っています。日本ならではの四季を背景に、下流から上流に遡りつつ、浮世絵をモチーフとしたアニメーションで映像紹介してゆくというものです。このパビリオンのメイン シアターでは、フィナーレとして、今まで映像が流れていた巨大なスクリーンが割れて、本物の水を流す滝が現れるという演出を施しています。この滝のデザインにこそ、私たちは席のレイアウトよりもアタマを使うべきだと考えました。例えばアミューズメント施設で用いられるような擬岩という手法を使ったリアルに表現する方法も考えられます。また、葛飾北斎の「諸国滝廻り」をモチーフにしたデザインも考えられました。

木曽阿弥陀が滝

華厳の滝

いくつかの方法論や具体的な滝のモチーフを検証することを逡巡した挙句にたどり着いたのは、千住博さんの「THE FALL」をお手本に空間化するという方法でした。“シンプルな黒い背景をバックに神々しく水が流れ落ちる”というシーンです。この結果によって、日本人ならではの“多くの滝は神として崇められている”というニュアンスも伝えることが出来たかもしれません。千住博

イマジネーションを沸かしてもらえるようなクリエイションって、絵画にせよ、イラストにせよ、彫刻や、建築や、音楽にせよ、デザインをする立場の人間だけではなく、生活する人びと皆が暮らしていくことにとって、非常に大切で私たちを豊かにしてくれるものなのだと思う次第です。

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展示とグラフィックのハニーな関係パート2

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写真:奥村浩司(Forward Stroke inc.)

今回も、展示施設とグラフィックの密接な関係について、書かせていただきます。

これもかなり前の物件なのですが、宮澤賢治さんの生誕100年を記念して、岩手県花巻市に「宮沢賢治童話村」そしてその中の最初の施設「賢治の学校」という施設をつくるお手伝いをしました。この施設の付近には、既に「宮澤賢治記念館」というミュージアムと「イーハトーブ館」という研究施設がありましたから、この施設は宮澤賢治の童話を読んだことのない方に童話を読んでもらうきっかけを与えるという役割を持たせることにしました。そのため、専門性を持った学術研究の場というよりむしろ、アミューズメントやエンターティメントの要素を高めて童話に興味を持ってもらえるような空間としました。さらに、来場者が一方的に受動するだけではなく、“あたかも童話や絵本を読むように、来場者のイマジネーションを喚起させることができるような空間”。言い換えると“来場者と空間が対話できるような場”を目指しました。

そうして完成したのがこの写真です。イーハトーブを「宇宙」「天空」「大地」「水」に分けた最初の空間、宮澤賢治の童話世界の心象宇宙を体感する空間です。賢治は星が大好きで、童話の中にもさまざまな星座が出てきます。西洋の星座だけではなく、東洋や、自分で作った星座さえも。そして、私たちの心も「宇宙」として捉えることで、生きている時間も、さらにその先の時間も宇宙のゆっくりとした時間と無限の拡がりの中にいつも間にか一緒になって溶け合う。と語っています。

私たちは、宮澤賢治の童話の中から星座たちをピックアップして、イラストに描き起こし、それらをコラージュしました。これは、実際の星座に沿うのではなく、(あえて言うと)童話の関連性やイラストレーターの感性をベースにそしてレイアウトしています。そして、この星座を万華鏡や無限反射というミラーを使ったギミックで空間にしました。

演出的な要素にも、グラフィックやアートは密接な関係を持っているのです。

展示施設とイラストの蜜な関係

arakawa 河川舟運図

 

今回は、展示施設には不可欠であるグラフィックの存在について書かせていただきます。

かなり昔の話で恐縮なのですが、荒川について知っていただき、さらに、好きになっていただくきっかけの場として、”展示資料館と、公民館の中間領域にあたるようなコミュニケーションスペース”つくりのお手伝いをさせていただいたことがあります。

上の写真が入り口から内部空間を見た写真です。また、下のイラストはこの施設内で展開した展示パネルのうちの1つになります。この絵図は江戸という街とそこに暮らす人々ががどれだけ川と密接に寄り添い、暮らしを支えていたのか?を知っていただくことを目的として作成したものです。通常の展示解説パネルですと、上流、中流、下流などの区分に従って資料と文章でかっちりと説明してゆくとか、河川の利用の方法ごとで説明してゆくなど、情報ごとに整理して理路整然と展開してゆくのが常ですが、私たちはこの施設に対して、知ることよりも親しみを感じて、さらに好きになっていただくということを最も重要なミッションとして設定していました。したがって、この場で展開する展示パネルでは、もっと直感的に観ることができ、かつ楽しく発見しながら観ていただくことを重要視しました。この絵図の中に描かれている内容としては、上流の伐採や、鉄砲堰、筏流しの様子。中流部の河岸の賑わい、様々な用途の美しい川舟。下流では、橋詰や川の賑わい、河川舟運が無ければ江戸の繁栄は無かったことも感覚的に解るはずですし、海に面するところでは製塩作業や江戸前の魚などの漁も行っているといった盛り沢山な内容になっています。また、江戸という時代を中心にしながらも時間軸を越えて、川と私たちの暮らしが現在も繋がっていくイメージを醸し出そうと考えました。高瀬舟と蒸気船と現在の観光遊覧船が混在していますし、10mも離れていない筈なのに帆のはらみが逆になってるなどの不都合よりも「くらしと河川の汲めど尽きせぬ関係性」を表現したかったのです。

このように施設のもつ役割と目的を実際の空間で体感し、参加していただくためには、イラストやアートとスペースデザインは絶対不可欠な蜜な関係となっているのです。

迷いのない長いストローク

昨日は、稠密、もしくは緻密が好きだ。と書かせていただいたのですが、実は何を隠そう!迷いのない長いストロークで一気に描かれた線。というモノにあこがれています。これはおそらく、自分がデッサンをすると迷い線ばっかりだということに対する、無い物ねだり。うらやましい才能への憧憬ということなのでしょうけれど。

閑話休題。

先日、森美術館で開催されている「アンディ・ウォーホル展~永遠の15分~」を拝見しました。キャンベルスープやマリリン・モンローやアンディ・ウォーホルのアトリエである「ファクトリー」の再現も、勿論かなり楽しかったのですが、私が最も気になったのは、迷いのない長いストロークで一気に描かれたスケッチでした。これらの作品を観て思い出したのは、今は亡きペーター佐藤さんの後期の作品群でした。スーパーリアルにエアブラシを駆使して描いたものではなく、パステルでそれも黒、もしくはグレーのパステル一本で勢いよく、迷いなく、楽しげに描かれた作品群です。ペーター佐藤さんのあの作品たちは、アンディ・ウォーホルさんのあのスケッチからインスパイアされて描かれたに違いない!と、ひとり合点したものです。(あくまでも私見です)

さらに思いを遡らせると、きっと水墨画にルーツがあるのかもしれないなぁー、とも思うのです。パステルやボールペンで描かれた線には、にじみやぼかしなどは無いですけれど。その思い切りの良さとか、楽しげに奔放に放たれたストロークに非常にイマジネーションを喚起されるのです。

AW PS

 

左:アンディ・ウォーホルさんの描いたジェームス・ディーン 右:ペーター佐藤さんの描いたジェームスディーン 日本語が書いてあるから、つい左がペーターさんかと思いますよね。笑)

稠密、もしくは緻密

私の好きな絵画のキーワードのひとつに、「稠密」もしくは「緻密」というワードがあります。現代のアーティストさんで代表する方を挙げるとすると、会田誠さん、山口晃さん、池田学さん(年齢順。笑)辺りが筆頭になるのでしょうか?

緻密なアートのもうひとつの方向性で、最近とくに大きなムーブメントになっているものに「スーパーリアル」という方向性がありますが、これは日本に限らず世界的な動きになってるようです。例えばalyssa monksさん、Antonio López Garcíaさん、Eric Christensenさんなどなど。アントニオ・ロペスさんの個展は昨年渋谷のBUNKAMURA THE MUSEUMで開催され、随分多くの来場者をカウントしたはずです。私も拝見しましたが、とっても素敵な展示でした。

しかしながら、先に挙げた3名の緻密さの方向性というのは緻密という言葉に、あえて「稠密」という言葉を付け足したような細かさであって、きっと、日本人ならではなのかも知れないなぁー、と思う次第です。この方向性のアートは海外で、きっとウケルような気がしてなりません。

Dessaでご紹介するアーティストさんの中にも、この流れの方が続々登場してきます。多分。笑) こうご期待下さい。

藝大3人衆

会田誠滝

山口晃百貨店圖 池田学meitdown

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バレンタインページに作品追加!

もうそろそろバレンタインデーですね。そこで、バレンタイン&ホワイトデーのイラスト特集ページを設けました。先週末に引き続き今週も、更新する予定です。お楽しみにお待ちください。尚、この特集ページはホワイトデイまで継続してトップページから直接リンクを貼っておきます。

 

ナカニシカオリバレンタイン